「エピックXT 3.0」の背面にはウレタン製のパネルが内蔵されており、たくさんのアイテムを収納しても荷崩れしにくい工夫がなされています。

また、アイテムの量によって高さや厚みの調整は、背面のゴムと上面を閉めるロールトップクロージャーに連結したサイドのコンプレッションストラップによって行います。

すなわち、日帰りや短時間の空に近い状態でも多くのアイテムを収納した状態でも、バックパック全体でしっかりと固定することができるのです。これによってアイテムの多寡に関わらず荷重は腰に近い背中の位置で安定し、エネルギーの浪費を抑制することが可能なのです。

2011年にアメリカで生まれたウルトラスパイアは、創設者のBryce Thatcher自身がアドベンチャーレーサーでありハイドレーションパックデザイナーというブランドです。アイテムの開発にあたってはBryceを含む32人のアスリートが、時間をかけて徹底的なフィールドテストを行っています。

「エピックXT 3.0」もエルゴフィットという思想で、複雑な曲線から成る身体に合わせた立体的かつ生体力学にも考慮したデザインで作られています。このため、すべてのハーネスやストラップによって身体の動きを妨げることなくバックパックが身体にフィットするのです。

前述の背面パネルは取り外し可能で、これを外すことでフィット感のみならずバックパックの生地が備えている冷却性を向上させることもできます。

このように激しい動きにもしっかり追従する「エピックXT 3.0」ですが、スピードを重視しない通常のトレッキングにもおすすめ。ULスタイルのバックパックというとペラペラの薄い生地で頼りない印象を抱きがちですが、通常の格子状に編まれた生地よりも強度の高いリップストップ繊維を採用。背面パネルを取り付けた状態であれば、薄手のトレッキング用バックパックよりも安定感は上といえるでしょう。

またこのアイテムはSMサイズで805gと軽量であることも大きな魅力。35リットル前後のトレッキング用バックパックの重量が1300〜1500g程度なので、その差は歴然です。

背面・ショルダーストラップ内側・ウェストベルト内側には身体から水分を引き出して蒸発させるXTメッシュ製の厚手のパッドが配置されており、柔らかく包み込まれるような背負い心地は、ULスタイルのバックパックとは思えないもの。カリマー・リッジシリーズやグレゴリー・ズール＆ジェイドシリーズなど同じく厚手のパッドを採用したトレッキング用バックパックからの移行も、ストレスなく可能でしょう。