アウトドアウェアの最大の目的が、無防備なフィールド環境でのさまざまなストレスから体を守るということである以上、いつ、どんな環境で、どのような使い方をするのか、使用シーンの条件に合うものを見極めることが、とても重要であることは間違いありません。
しかし、そんな目的や条件を度返ししてでも手に入れたいと思える、「人の所有欲をくすぐるもの」が、この世には存在します。いつ着るのかだとか、他にもいろいろあるだとか、そんなことを口にするのが野暮だと思えるほどの絶対的な魅力が、この1着にはあふれています。






















過去からのメッセージを未来に伝える特別な1着
南極大陸横断を支えた1着へのオマージュ
圧倒的なボリュームと目を奪われるような存在感、クラシカルなディティールとは対照的な、シャープで潔いブラック&ホワイトのコントラスト。軽量コンパクトやULという言葉が近くにあるアウトドア界隈にとっては、かえって新鮮にも思えるヘビーデューティな姿。
このジャケットは、1990年に、日本をはじめとする世界各国から集まった6人のメンバーが、世界で初めて犬ぞりによる南極大陸横断を果たした際に着用したウェアをベースに作られたもの。当時彼らが世界に向けて発信した、「環境と平和」、「チャレンジスピリットの重要性」のメッセージを、次世代に繋ぐためにザ・ノース・フェイスが立ち上げた「THINK SOUTH FOR THE NEXT」 というプロジェクトのもとで販売される、特別な1着なのです。
当時のスタイルと最新機能素材との融合
長めの丈やフラップ付きのハンドポケットなど、クラシカルなスタイルは当時の隊員たちが着用していたデザインを踏襲したもの。顔周りをぐるりと囲むように付けられたリッチなファーが、街着によくあるただの飾りではなく、過酷な環境で命を守るために作られたことをリアルに物語っています。
しかし、30年以上の時を経てこの世に生まれるからには、当時のものをそのまま蘇らせるだけでは意味がありません。ザ・ノース・フェイスが長い年月をかけて開発してきた、最新のテクノロジーをフルに搭載し、「THINK SOUTH FOR THE NEXT」の精神を現在に引き継いだのがこのジャケット。
素材、縫製、機能、デザインのすべてで最高のスペックを揃え、低温極地の環境にも対応するエクスペディション仕様に仕上げられました。
究極のエクスペディション仕様
防水2層構造のゴアテックスに、非常に厚手の200デニールナイロンの表地を合わせた表地が、圧倒的な耐久性と防水性を確保。
ボリュームたっぷりの中綿には、ゴールドウインが開発した「光電子」テクノロジーを搭載した、リサイクルダウンを採用。体が発する体温の遠赤外線効果を利用することで、ダウンの素材力を越えた、さらに高い保温力を発揮します。
フロントファスナーは深めのフラップでカバーして、横殴りの吹雪をも寄せ付けない、高い防水性を確保。フラップは、リズミカルに並ぶ楕円型の面ファスナーで、しっかりと、すばやく着脱できるよう仕上げられています。
袖口は、内側で手首にフィットするリブと大型の面ファスナーで、外からの冷気を隙間なくシャットアウト。分厚いグローブをしたまま操作ができるよう、あえてパーツ類は硬く大きなものが使われています。
襟元の内側には、冬用のシュラフのように首にフィットするダウンマフラーが付けられていて、温まった空気を外に逃すこともありません。
ダウン入りの保温ジャケット自体はさほど珍しいものではありませんが、極地用を名乗るだけあって、細かな仕様のそれぞれが、一般的にはあまり目にすることのないもの。日常や一般的なアウトドアの想像を超えた、徹底的な防寒が施されているのがわかります。
地球環境を考えるきっかけとして
そして、このジャケットのもう一つの大きなテーマが、「環境」です。
表地も裏地も、リサイクルナイロンを使用。ダウンは、使わなくなったダウンを回収・再生する循環プログラム「グリーンダウンリサイクル」を採用して、限りある羽毛素材の保護と、廃棄や輸送による二酸化炭素の排出を抑えることに貢献しています。
フードのファーも、もちろん化繊から作られた100%エコファーを使用。
日本でザ・ノース・フェイスブランドを展開する、ゴールドウインが社をあげて推進する、リユースやリサイクルの推進プログラム、「GREENCYCLE」のコンセプトに基づいて、徹底的に環境に配慮した素材が選ばれています。
「白」であることの意味とは
環境に対する姿勢は、「色」にも強く表現されています。多くのアウトドアウェアは、汚れが目立ちにくさや、アウトドアでの安全性から視認性の高さを重視して、ビビットで濃い色を使うのが基本。最近はアウトドアの世界でも、ちょっとしたホワイトブームが来ている感はありますが、このジャケットが白いのには、トレンドやデザインとは違う意味があります。
商品名の「Undyed」からもわかるように、このジャケットの白は、素材そのものの色を活かしたもの。つまり、あえて繊維を染めないという選択をした結果なのです。
製品の製造工程のなかでも、大量の水を使用する染色は、特に環境への負荷が大きいとされています。世界的にも、使用する水量を減らす染色の方法が開発されてはいますが、その行程をまるごと省くことで、より多くの人がサステナブルについて考えるきっかけを作ろうというのが、「Undyed」の目的。このジャケットは、ブランドの考えを表現する、コンセプトモデルという役割を担っているのです。
手に入れることに意味がある
極地で使用できる保温性、防水性、耐久性を備えたハイエンドモデルですが、いわゆる山岳用とは違いボリュームも重量もかなりあるので、登山やハイキングなどには適しません。
もちろん、ポケットやフードの調節機能、裾やウエストがコードで絞れるなど、ディティールも丁寧に作り込まれているので、使い勝手は申し分ありませんが、日本国内でこのジャケットが必要な極寒環境は、さほど多くないはずです。
しかし、この1着を手に入れることは、ブランドのコンセプトに共感し、30年以上前から今に続く、地球環境を考えるメッセージに共鳴したことを、形に表すことにほかなりません。衣類やファッション、ギアとして以上の意味を、手に入れることになるのです。
左の肩には商品名が記された円形のシリコンワッペン、右肩には、おなじみのブランドロゴのワッペン、背中には、ベースと同じホワイトでロゴが刺繍されています。
かなりオーバーサイズの設定なので、下に厚手のフリースなどを着込むこともできますが、たいていの場面で、下は薄着で過ごすことができるでしょう。真冬の天体観測や写真撮影、バードウォッチングなど、極寒のなか長時間じっと待つようなシーンでは、スペックが大いに発揮されるに違いありません。存在感が大きいので、これで冬の街を闊歩したらかなり注目を浴びそうですが、建物に入ったとたん大きな荷物を運ぶことになるので、クロークのない場所に着て出かけるのはお勧めしません。羨望のまなざしも多いでしょうが、「どこに行ってきたの?」と聞かれることも、同じくらい多いかもしれません。
服を買う時、どこで使う、何に使うかを考えて、それに合ったものを買うのが普通ですが、このジャケットの存在価値は、そんな常識とはかけ離れたところにあるように思えます。手に入れることが目的になる。過去から受け取ったメッセージを、未来につなげる。これはただの服ではなく、ブランドの、持つ人を表現する特別な存在なのです。
サイズ表
※実寸
XS | S | M | L | XL | |
身幅(cm) | 59.0 | 61.0 | 63.0 | 65.0 | 67.0 |
着丈(cm) | 77.0 | 79.0 | 81.0 | 83.0 | 85.0 |
肩幅(cm) | 46.2 | 47.8 | 49.4 | 51.0 | 52.6 |
袖丈(cm) | 60.4 | 62.6 | 64.8 | 67.0 | 69.2 |
商品詳細
ブランド | THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス) |
名称 | アンダイドアンタークティカパーカ/UNISEX |
素材 | ・表地:200D Recycled NylonTussah GORE-TEX(2層)(表側:ナイロン100% 裏側:ePTFE) ・中わた:Green Recycled CLEANDOWN 光電子(ダウン72%、レーヨン20%、フェザー8%) ・裏地:PERTEX Quantum ECO(ポリエステル100%) ・ファー部分:ECO Fur(ポリエステル80% アクリル20%) |
重量 | 1700g(Mサイズ) |
サイズ | XS、S、M、L、XL |
カラー | UD(ホワイト) |
備考 | ・GORE-TEX:妥協のない防水耐久性を提供する素材ブランド。ベスト・イン・クラスの素材、構造、テクノロジーに加え、厳しい検査により優れた防水、防風、透湿性を約束することで、身体をしっかりと保護し、ドライで快適に保つ。 |