まずはディティールからチェックしていきましょう。 サイズはユニセックス展開で、シルエットはゆったりめ。ダボっとワイドな身ごろに袖はひじの上あたりまで届く、かなり長めの設定です。

後ろが少し長めになっていて、横から見るとなだらかにカーブを描くカッティング。左側にサイドポケットがひとつあり、ここに全体を収納できるパッカブル仕様になっています。

裾にはコードが通っていて、左側のスリーブから引っ張って絞ることで、下からの風の吹き込みを防いだり、シルエットを調整したりすることが可能。ただしコードを止めるアジャスターは付いていないので、簡単に結んで留めておくことになります。

襟ぐりは普通のTシャツなどよりも一回り広い開き。襟元にスナップボタンがあるので、プルオーバータイプにしては楽に脱ぎ着することができます。

続いては、このTシャツ型のウインドシェルの利点と、どんな場面で有効なのかをじっくり考えてみましょう。 まずは、なぜ半袖プルオーバーという形なのか。 その第一の理由は軽量化にあるでしょう。袖の分の生地が少なく、フロントファスナーがないため、重さはメンズM（ウィメンズL）サイズで、わずか90ｇ。ポケットの中に全体を収納すると、荷物の中で見失いそうなほどコンパクトになります。

半袖であることのもう一つのメリットは、もたつきのなさです。少し寒いと感じて長袖のウインドシェルを着たけれど、つい腕まくりをしてしまうことはありませんか？　行動中の体温調整には、体の体幹部分を温めることが重要で、中心から離れた位置にある腕は、比較的寒さを感じにくいのです。どれほど薄くても、袖がないほうが自由に動ける。体を保護する役割は果たすなら、半そでで充分というわけです。

さらに、換気性がいいのも大きなメリット。ワイドなシルエットと太い袖のおかげで内部空気をため込まず、素材自体にも高い通気性があるので、体が温まり風や雨がやんでも、慌てて脱がなくても熱気が中にこもらないので、脱ぎ着を頻繁に繰り返す必要もありません。

何よりも、ウインドシェルに見えないデザインは、山でも街でも魅力的。スポーティーすぎないスタイリッシュなデザインは、さすがフーディニといったところでしょう。

さらに、いろいろなレイヤリングに使えるのも強み。半そでやキャミソール、タンクトップの上に、長袖のベースレイヤーの上に、フリースやソフトシェルに重ねるのもあり。温度変化が激しいときは、アームカバーと組み合わせるのもおすすめです。 着こなしも自由自在。ジャストサイズをコンパクトに着るのもいいし、あえて大き目サイズをダボっと着るのもいい。個性を生かしたコーディネートができそうです。

たぶん上着はいらないけれど念のため、という晴れた日の山歩きや、ちょっと天気があやしい日のライニングやバイクライドに。低山の稜線で風に吹かれた時のために。さらには、電車や飛行機、建物の中で、効きすぎたエアコンの風から体を守るために、山でも街でも、旅にも携帯したい一着。 基本のアイテムではないけれど、いろいろな場面を経験して、こんなものが欲しかったと思っている人もいるのではないでしょうか。これをいろんな場面で有効に使いこなし、自分のセンスで着こなせたら、一目置かれることは間違いありません。