独自のトレイルランニングシューズで知られる「アルトラ」。その快適すぎる履き味から、今では比較的ライトなトレッキングでも愛用する山好きの輪がどんどん広がっています。とりわけブランド創業来10年以上も継続展開するアイコンモデル「ローンピーク」は、山で見かけない日がないと言っていいくらい浸透してきました。
アルトラの特徴は、全体に高低差のないフラットなプロポーションで、一般的なシューズのように「かかとが高く、つま先が低い」前傾のバランスとはまるで違うということ。これは「ゼロドロップ」と呼ばれており、靴を履いていない裸足の状態と同じバランスになるため、自ずと裸足で歩行する際の足運びに近づくと言われます。すると人間に大昔から備わっている本来の衝撃吸収能力がいかんなく発揮され、接地したときにかかとに受ける衝撃を軽減。かかと、ひざなどの関節や腱にかかる負荷を減らして、ケガや故障、疲労を軽減するというフィロソフィーに基づいています。










アルトラのアイコンモデルが、トレッキング向けのミッドカットで登場
また、一般的なスニーカータイプのシューズと比べて、つま先部分がワイドに広がっています。これにより、シューズの中で足指が自然に広がって、やはり裸足で過ごしているときに近いリラックスした状態に。長時間履いたときのストレスを大幅に軽減することができるのです。さらには足指で大地を掴む動きを呼び覚まし、足裏のアーチ(土踏まず)の働きをフルに引き出すことで、人間の足本来の動きができるというもの。「衝撃吸収」や「固定」などの対処ではなく、根本的な走りを人類に本来備わっている形へと切り替えるように促すことで、負担を軽減する狙いがあります。
もちろん、完全に裸足であることとシューズを履いているのとはまったく別ものです。人間本来の機能を引き出しつつ、シューズとしてクッションや安定性、凹凸からの保護といった機能をバランスよく盛り込んだのがローンピーク。こうした故障予防の考えに共鳴し、また抜群に履き心地がいいことから、自然の中でこそよりナチュラルに大地を踏みしめたいハイカーから支持されるのです。
ゼロドロップで人体の衝撃吸収能力を最大化
それならばと、ローンピークの低重心な基本設計はそのまま、ミッドカットのトレッキングシューズにカスタマイズしたのがローンピーク オールウェザー ミッドです。
ことゼロドロップによるバランスクッションソールは、荷物を背負っての下りの局面で明確な差となって現れるでしょう。自然に近い立ち位置バランスとなるため、半ば無意識に、足裏全体で接地する丁寧な足運びになります。
その分、靴自体の剛性や重さはトレイルランニングシューズの延長線上にあるので、非常に軽量。鎖が設置されているようなガレ場はさておき、それ以外の大半を占める土の上ではすこぶる快適に歩けるはずです。
eVentで全天候型仕様に
靴の中で足指が広げられるワイドなフットシェイプも健在。一方、ミッドカット丈はくるぶしまで足首を包み込んでくれるため、適度な固定で山歩きには好ましい安定感のある履き心地に。足首側2箇所のシューホールはフックタイプになっています。
アッパーの素材やデザインもローンピークに準じていますが、大きな違いは防水・透湿性のあるeVentをブーティ構造で採用している点。ぬかるみでの歩行や、急な雨でも気を揉む必要はありません。
歩きやすさの秘密はミッドソール材にも
ミッドソールは、柔らかすぎると足の力が地面に伝わる前にミッドソールに吸収されるロスが出てしまい、効率よく前進できなくなってしまいます。
逆に固すぎると、着地した際に発生する地面からの衝撃がダイレクトに足に伝わってしまい、足首やひざ、腰、腱などを痛める原因になりかねません。
ローンピーク オールウェザー ミッドはトレイルラン用でも採用しているEGOミッドソールを搭載。前述の相反する二つの問題を解決するために、ソフトでありながら力を増加させ、前進するエネルギーに変換する配合になっています。適度な硬さで足の力をしっかりと伝えて効率よく前進できるのが特徴。トレイルランシューズ由来の「歩ける一足」というわけです。
アルトラの故郷アメリカでは、比較的軽量な荷物で数百km、数千kmというトレイルを歩くスルーハイクという文化が定着していますが、その際シンプルに歩行性能の高さが重宝されるのです。
裸足感覚を活かすアウトソールパターン
アウトソールは独自開発されたデュラトレッドを採用しています。
濡れた路面やぬかるみ、岩の上などを歩く際にも滑りにくく、しっかりと地面に食い込む安定性に優れたパターンとコンパウンドを使用。耐久性にも優れたソールとなっていて、初期のパフォーマンスを長期間に渡って発揮してくれます。
デザインも特徴的で、足指の5本をそれぞれ意識させるようなパターン配置になっていることが分かるでしょう。この矢先状のラグパターンでつま先部は登る際の後退方向へのスリップを、かかと部では下る際の前進方向へのスリップを防ぐような摩擦を発揮。歩くための出力を余すところなく大地へと伝えます。
ラグの高さは一般的な登山靴より低め。これはゼロドロップによる繊細な着地の足裏感覚を損なわないためで、シューズの性能に任せきりにならない丁寧な足運びになるからこそ、いたずらにスパイクを利かせる必要がないのです。
あらゆるシチュエーションに幅広く対応
裸足で歩行するかのような自然な歩き方を促し、かつアシストして欲しい対候性や安定性といった部分はしっかりアシストするローンピークのトレイル版モデル。シューズに頼りきりになるのでなく歩き方から変わろうとする一足のため、日帰りのハイクでも、山小屋での一泊でも、長期間のトレッキングでもこの一足で対応できるポテンシャルを秘めています。
何より、歩くという行為自体に新たな楽しさを見出せそうだと思いませんか。トレイルランニングシューズで山を歩くのはちょっと…と抵抗を感じていた方にも、ぜひとも試してもらいたい一足です。
商品詳細
ブランド | ALTRA(アルトラ) |
名称 | ローンピークオールウェザーミッド/MENS |
主素材 | •インソール:5 mmコンターフットベッド |
サイズ | US7(25.0cm) |
カラー | Black(ブラック) |